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懐かしのキノコ
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○仏名「ピエ・ド・ムートン」(羊の脚)、和名「カノシタ」(鹿の舌)
フランス人にとってキノコとは、春のアスパラや冬のジビエなどと並んで旬を味わう特別な素材である。
その時期のマルシェは朝早くから多くの人達で賑わいを見せ、食に対する情熱が醸し出す空気に触れることが出来る。
レストランでは、キノコシーズンが始まるとSausier(ソ―ス場)とGarde -manger (コール場)の下っ端は、朝から晩まで下処理に追われることになる。
発生する地域やタイムラグの関係で入荷する期間は1カ月程度あるのだが、それでもノエル(クリスマス)から年明けの3カ月分位を一気に処理するので、毎日が終電との競争であった。
その頃少なくても常に10数種類は提供していたはずだ。
全てが初めて見るキノコで空輸だったし、呼称はフランス語だから、つい最近まで日本には存在していないものだとばかり思っていたが…。
仕事としては大変だったが、未知の素材との遭遇が楽しく、決して苦ではなかった。
ピエ・ド・ムートンは割りと痛みが少なく大きいキノコなので、これが入荷していると終電を気にしなくても済むと嬉しく思ったものだ。
逆に状態の悪いシャントレルが入荷していた日には、サウナを覚悟。一喜一憂の毎日が日常で、キノコのない秋は今でも考えられない。
希少価値が高く高価なキノコは、バブルの時だからこそふんだんに使う事の出来たものだと思っていたが、趣味の延長線上のキノコのネットワークに参加することによって、どうやら全て国産で賄うことが出来そうだと確信を持つに至った。
ピエ・ド・ムートンも今年初めて入荷。
向こうのものに比べると若干華奢だが、鮮度が良いので香りも弾力も段違いで素晴らしい。
送って頂く方のキャパシティの関係で多くは入荷出来ないのだが、国内に発生する食菌の約9割をカバーすることが出来そうだ。トリュフ、モリーユ、ポルチーニでさえも。
今期はほぼ終了だが来期が楽しみだ。
来期は長野へ定期的に勉強会の参加、収穫ツアーの実施と、これまでにも増して充実させた秋の味覚の提供に精力を注ぎたいと思っている。