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アンズ愛を語る。
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コンフィチュールの仕込みに追われるシーズンになりました。
先発のサワーチェリーと南高梅が終わり、今はアンズとルバーブ。これからブラックベリー、カシス、レッドカラント、ミュール、フランボワーズ、フレーズ・デ・ボワなどの国産ベリー類が次々に出て、ブルーベリーやプルーンになると一段落ですね…。
昨年はレーヌ・クロード、クッチェ、ミラベルなど長い間探していた果物に巡り会えたので、継続してお客様に提供出来るように努力です!
ところで、アンズはもっとキチンと評価されて欲しい果物の一つですね。
生食用のハーコットと同列で陳列されて販売されていますが、アンズはあくまで加熱してそのポテンシャルが発揮されるものであり、そのまま食べてもそんなに美味しいとは感じる事が出来ないもの。サワーチェリーやグラニースミス(青リンゴ)もどちらかと言えばその類いですよね。
提供する側の理解が少しでもあるなら、馴染みの薄かろう多くのお客様に、ただパックに入れただけの物を「仕入れ値×幾ら」でなんて、いい加減な商売はしないんじゃないかな?
ちょっと「この季節だけのタルトを作ってみませんか?」などと一言添えるだけで、「アンズのタルトって、この季節だけなの?」と疑問を持たせ、少しでも消費を促す効果や食文化の啓蒙になると思えるんだけど。
輸入品の粗悪な缶詰めを使って年がら年中アンズのタルトを売っているところが多いから、日本では地位が低いんでしょうね…。
アンズもご多分に漏れず品種が多い果物です。
現在おおよそ日本全国で70種類が栽培されています。栽培地域は青森(約7割)と長野でほとんどを占めると言われています。青森出身者であり、長野遠征が趣味みたいな者にとってアンズ擁護は当たり前のようなこと(笑)
前出のハーコットやゴールデンコットのようなごく一部の生食用を除けば、基本的に加工用となります。以下は当店で基本的に使用しているアンズの品種です。
○生産量の最も多い「平和」は現在長野では出荷が始まってまだ1週間。これからピークを迎えます。酸味がキチッとしていて良質な身質は加工用としてオールマイティ。ジャムにタルトにリキュールにと、最も活躍してくれる良き相棒です!
今年は雹害のため例年とは違う規格で流通していますが、果実が熟れる時期に長期の晴天に恵まれたため味は格別です。
○当店で「幻のアンズ」として特別のコンフィチュールに仕上げているのが「信山丸」。
生産量が極めて少ない希少種です。少しずつですが入荷してきました。
味は濃厚でヨーロッパ種を凌駕する芳醇さを持ち、かつアジア種の特徴でもあるキレの良い酸を併せ持つアンズの王様です。価格も王様ですが(笑)。
○あと1週間ほどで収穫が始まる「信州サワー」。この前畑で見た時は色付きが浅かったのですが、既にパープルを感じさせる果皮を擁していました。
この特殊なアンズは長野の農業試験場で開発されてまだ6年目。多分ほとんど流通していないんじゃないかな~?
中野市にある名月園の「アンズの神様」小山さんが今年自信を持って収穫&発送してくれるので、今年は「パープルのアンズコンフィチュール」を初めて御提供出来ると期待しています。
アンズは収穫から追熟の2〜3日が最も神経を使うデリケートな商品です。
到着までの熟成加減を計算した上で収穫しなければいけません。
小山さんは超~職人なので、何に使うのかを聞いたうえで最適な熟度のものを摘果してくれます。絶対素人にはアンズの熟度を見極めるは不可能ですよ。日焼けしたアンズなんて、どうやっても美味しく熟したものにしか見えませんから!
また、仕込みの量も聞いてこられます。ですからいっぺんには多くの量を送ってきません。適量を数回にわたって発送して下さいます。そういった対応をして頂くという事は少しは仕事の内容も理解して頂けるようになったのかな?と勝手に思っています。
生産者と交流することによって初めてそのものの真価が分かる事がほとんどです。
外に出向く事によって自分の今まで抱いていた価値観を客観的に見つめること、見直すこと、突き詰めることが出来るような気がします。
現在「ふじのくに 食の都 仕事人」として活動させて頂いていますが、静岡の食文化を発展させるためには、より多くの外部の方々と接する事が必要なんじゃないかな?と、長野県との交流の中で考え始めています。
批判する訳じゃないけど、この仕事人の制度(?)にはみんなある程度停滞感を感じているはず。
足並みを揃えるのは難しい事だとは思うけど、富士山がらみで中部の文化圏を形成する方向でいけばなんらかの突破口にはなるかもしれませんね。
(あっ、既にどなたかが提言されていましたっけね。)
以上 「アンズ愛」を語る、でした。